【ハッピープレビュー vol.14 開催報告!】〜過去と未来、ハッピー、不完全が織りなす映像の祭典〜

プロアマ問わず、各回のテーマに沿った作品をゆるオシャな場所でゆるオシャに楽しむ動画作品上映会「ハッピープレビュー」。


14回目となる今回は、「過去と未来」「ハッピー」「不完全」という3つのテーマを掲げ、個性豊かなクリエイターたちが集結!


熱気に包まれた上映会の模様をお届けします!

【1】佐藤みずきさん『誰かの笑顔のために』

不完全な私だからこそ生まれる、誰かの笑顔


トップバッターを飾ったのは、佐藤みずきさん。

「不完全」というテーマに、まるで自身を投影したかのような作品『誰かの笑顔のために』を披露。

普段の仕事で感じていることを作品に込め、誰かの笑顔のために映像を作るという想いを表現。

自身の経験を赤裸々に語る姿に、観客の中には涙を流す人も。

身を削る思いで作られたという言葉通り、映像には彼女の熱い想いが込められていました。

「映像を作ることが好きなんだな」という気持ちがひしひしと伝わる作品で、同じ動画クリエイターからは「共感しかない!」という声も。

モノづくりをする人ならきっと共感できる、そんな力強い作品でした。

【2】クリハラヒロムさん『INCOHERENCE』

夢の中で見るような、不完全な世界のビジュアライズ


続くクリハラヒロムさんの作品は、『INCOHERENCE』。

「夢の中で見られるような無秩序で支離滅裂で不完全な世界のビジュアライズ」というテーマ通り、夢のような不思議な世界観が展開。

「支離滅裂」という言葉を肯定的に捉え、見事に映像として落とし込んでいるのは流石の一言。

「夢」という、言語化が難しいテーマに挑戦し、音や色、3Dなどを駆使してクリハラさんならではの世界観を表現。

難解なテーマを見事に表現した手腕に、会場からは感嘆の声が上がりました。

普段から様々なインプットをしているからこそ生まれた、奥深い作品です。

【3】minaさん『のかりあん』

20年前と変わらない、東大宮のおじさんの物語


学生時代に働いていた焼き鳥屋を取材し、20年前と変わらないギャグを言う東大宮のおじさんの、ちょっと素敵な物語を描いています。

時間がない中で、昔働いていた焼き鳥屋さんを撮影し、マスターへの想いを込めたというminaさん。

ローカルながらも埼玉県Google口コミランキングで1位を獲得するほどの人気店であることからも、マスターの人柄の良さが伺えます。

minaさんの作品には毎回「愛」を感じるという声が多く、今回も温かい気持ちになる作品でした。

被写体の懐に飛び込む力、自然な笑顔やコメントを引き出す力は本当に素晴らしい!

【4】タケさん『perfection in imperfection』

不完全さの中に宿る美しさ


「不完全」と「ハッピー」をテーマに、3Dのパーティクル表現を用いて制作。

キレイな実写かと思いきや、毎回全てCGで制作しているのも驚きです。

パーティクルの不規則な動きが、「不完全」でありながらも魅力的であるというテーマと見事にリンクしています。

不完全から完全になっていく過程に面白さや美しさを感じ、作品を作る中でできないことができるようになっていく過程、試行錯誤すること自体を楽しんでいるというタケさん。

そんな想いが込められた、幻想的な作品でした。

音楽との組み合わせによって、さらに没入感が高まっているのもポイント。

海外のチュートリアル動画を参考に、試行錯誤を重ねて完成させたというパーティクルの表現は、見応え十分です。

【5】宮崎賢さん『Restart』

大人になった今、もう一度前に進もう


子供の頃は行動力があり夢をたくさん持っていたのに、大人になるにつれて行動しなくなってしまった…。

そんな経験から、「もう一度前に進もう」というテーマを描いています。

「過去と未来」というテーマから、「もうちょっと行動してみようかな」と考えたという宮崎さん。

映像、イラスト、音楽を全て自身で制作。

30代半ばならではの悩み、「これからどうなるんだろう?」という漠然とした不安や、「自分は何をどう表現していくのか?」という問い、様々なことを考える切なさを作品に落とし込んでいるのが印象的です。

「ちょっと飲もう」と誘いたくなるような、共感を呼ぶ作品。

トップバッターの佐藤さんの作品にも通じる、「過去を振り返り、様々なことを経て、それでも前に進む」というメッセージは、多くの人の心に響いたことでしょう。

テーマや表現は違えど、クリエイター同士で同じ感情に帰結するというのは、イベントならではの体験ですね。

【6】たんさん『帰り道の泡影』

帰り道を彩る、幻想的な世界


仕事終わりの帰り道に考えていることを表現。

最寄りの駅から暗くて長い道を歩く中で、「何か楽しいことがあればいいな」と思いながら帰っているという日常を切り取ったとのこと。

ビデオ(実写)をメインにしようと思っていたものの、以前から挑戦してみたかったトラッキングに挑戦。

仲間の協力を得ながら完成させたという作品には、やりたいことをやり遂げた満足感が溢れていました。

実際の世界では起こりえないことを、素敵な音楽とイラストで表現した作品は、まさに「素敵!」の一言。

夜のシーンで光を多く取り入れる必要性から線の表現が変わり、それが繊細な花の表現にも影響を与えているという考察は、鋭い視点です。

トラッキングをやりたい、という出発点から、表現方法まで昇華させた、新しい挑戦が詰まった作品です。

【7】ゆきひらなべさん『いとおしい』

視点や立場によって意味が変わる、人生の不思議


正しいと思った行動、失敗してしまったと思ったこと、それぞれ見る視点や見る人の立場、環境で意味が変わるという、奥深いテーマを扱っています。

今年やることの一つに「ハッピープレビューに参加すること」を掲げていたというゆきひらなべさん。

作品を見る際に「解釈できるまで繰り返し見る」という鑑賞スタイルを持つというコメンテーターの宮地さんも、テーマの壮大さに何度も繰り返し見たとのこと。

BGMや不協和音を含めた違和感の作り方、シリアスな話とアニメーションチックで可愛い雰囲気のギャップなど、刺激的な要素が満載。

人間=不完全、りんごを食べたことによって不完全とも言える、という考察も興味深く、ストーリーテリングも考え抜かれた作品です。

【8】Reeさん『ジェットコースターⅢ』

シリーズ集大成!ハッピープレビューへの愛を込めて


Reeさんの作品は、約1年前に制作した「ジェットコースター」シリーズの第3弾、『ジェットコースターⅢ』。

今回はシリーズの集大成として、Blenderと実写を組み合わせた作品に挑戦。

音楽制作から行い、ハッピープレビューがいつまでも続くようにという願いを込めて制作。

この1年で映像をより深く学ぶためにBYNDアカデミーにも参加したというReeさん。

よりおしゃれにするにはどうすれば良いか、BGMにも力を入れたとのこと。

自身をモデルにした表現にもチャレンジ。

楽しい要素満載で、テキストも英語かと思いきやローマ字読みだったりと、ツッコミどころ満載のReeさんらしい作品。

様々な技術を詰め込みながらも、全て自分のカラーにしてしまうセンスは流石。

上映中は拍手と笑い声が絶えず、会場を大いに盛り上げました。

【9】ktymさん『ENTROPY』

バラバラな絵柄が織りなす、新しい未来への序章


11月29日に発売される初作品集のPR映像として制作。

「ENTROPY(エントロピー)」は乱雑さを表す言葉で、絵柄がバラバラな作品集にぴったりだと思い名付けたとのこと。

過去作品を再構築し、より新しい未来に進むという想いを込めて制作。

作品集を作るにあたり、作風がバラバラなのをどうまとめようかと考えた際に、過去作品をコラージュするというアイデアに至ったというktymさん。

過去の自分にとっては完成でも、未来の自分にとっては未完成。

それを本として再構成し、さらに映像としたのが今回の作品。

ハッピープレビューへの作品提出は今回で4回目となり、回を重ねるごとにクオリティが上がっているktymさん。

原色を効果的に使った斬新な色の使い方は、まさにktymさんの強み!

【10】Tyler & Marlaさん『(love)story...』

意味深な表現で描く、不完全な愛の物語


2分間で表現できる不完全な愛について考え、分かりやすい表現よりも意味深な表現の方が視聴者に刺さると思い、王道な雰囲気に仕上げた作品。

2分でできる限りの映画を作ったという言葉通り、短い時間の中に凝縮された物語が展開されます。

テーマは「不完全」がメインで、「過去と未来」は後付けとのこと。

タイトルの読み方は「カッコつけたlove story…」という、ちょっとしたおやじギャグも仕込まれています。

片目だけ帽子で隠れていたり手元だけを映したりと、全てを見せない表現や、建物や建物の影の使い方など、映像表現が非常に印象的です。

「映画が好きなんだな」と感じる物語の作り方で、ゾワゾワくるオチも魅力的。

トーンやサウンドと映像の融合が素晴らしく、他のクリエイターからも「かっこよくて悔しいと思った」という声が上がるほどでした。

【11】フクシマさん『空想の禁止』

インタビュー形式で描く、空想の物語


サンダレッカの有名な言葉から始まるこの動画は、ある芸術家気取りの男を糾弾する内容となっています。

入れ子状態の構成に詰め込まれた彼の作品群を見ながら、空想することの愚かさに気づいてほしいというメッセージが込められています。

インタビューものを作ってみたかったというフクシマさん。

インタビューの方法やピンマイクの使い方など、教わったことを活かしたかったとのことですが、インタビュアーも作品中の名言も全て空想の産物というユニークな構成。

英語ではなくフランス語を使用している点や、空想とはいえ未来にありそうな内容になっている点など、まとまりの良さが光る作品です。

【12】なのはさん『いだいなそら』

子供の目を通して見る、空の偉大さ


ハッピープレビュー史上、最年少クリエイター!!

初参加の今回の作品には、見上げる空が美しいことを、大人に感じてほしいという想いが込められています。

なのはさん自身、小さい頃から空の表情に敏感で、夕陽を見つけては目を輝かせていたとのこと。

好きなものは空と科学。

そんな好きなものを詰め込んだ作品は、写真、絵、スタンプをコラージュして作られています。

大人に「見上げる空が美しいこと」を知ってほしいという、純粋なメッセージが胸を打ちます。

「最近青空を見ていないことに改めて気づかされた」という声や、「空の偉大さ、美しさをこんなにピュアに表現できるのはなのはさんだけだ」という声も。

大人として失ってしまった何かを思い出させてくれる、素敵な作品です。

【13】菅沼隆利『残業飯』

ハッピーとアンハッピーの境界線


トリを飾ったのは、菅沼隆利さんの『残業飯』。

「自分のハッピーが、誰かのアンハッピーの上に成り立っているのではないか?」という問いを、映像というキャンバスに投げかけた作品です。

幸せと不幸せが微細に交わるその境界線を、色彩と形、音で紡いでいます。

私たちの幸せが他者の影を引きずりながら形作られるその瞬間を、視聴者に問いかけるような映像を意識して作ったとのこと。

「ハッピーってなんだろうな?」を掘り下げて映像を作ってみたいと思ったという菅沼さん。

自身にとってのハッピーは、仕事をめちゃくちゃ頑張った後に飲むビール。

めちゃくちゃ美味しいビールを飲むためには、めちゃくちゃ頑張らないといけないというアンハッピー。

アンハッピーがあるからこそ、ハッピーがある。その関係性を表現したいと思ったとのこと。

カメラワークが印象的で、1カットの中に彩度の高いものを1個だけ入れることで、トーンを崩さないようにコントロールしている点が評価されていました。情報量が多くなりがちな映像において、あえて色を絞ってカットを作っているのは、まさに熟練の技と言えるでしょう。

全体を通して

今回のハッピープレビューvol.14は、「過去と未来」「ハッピー」「不完全」という3つのテーマを通して、それぞれのクリエイターが個性豊かな作品を披露しました。

自身の経験や想いを表現したもの、夢や空想の世界を描いたもの、社会的なテーマを投げかけたものなど、表現方法は様々でしたが、どの作品からもクリエイターの熱意や情熱が伝わってきました。

また、参加者同士の交流や、作品を通して生まれる共感も、ハッピープレビューの魅力の一つです。異なるテーマ、異なる表現方法でありながら、作品を通して共通の感情やメッセージが伝わってくる瞬間は、まさにイベントならではの体験だと思いました。

告知

次回のハッピープレビューvol.15は、2/26(水)に開催予定!

そして、3/1(土)にはグランドチャンピオン大会も開催されます!(過去にグランプリを受賞したクリエイターがエントリー)

どんな作品が集まるのか、今から楽しみです!

詳細は後日発表いたしますが、まずはスケジュールの確保をお待ちしています。


ゆるオシャな場所でゆるオシャに。

一緒に楽しい時間を過ごしましょう!


写真 = 千葉ハルカ

文 = 千葉ハルカ

HAPPY PREVIEW(ハッピープレビュー)〜動画クリエイター作品上映会〜

ハッピープレビュー(ハピプレ)は "テーマに沿った作品をゆるオシャな場所でお酒を飲みながら贅沢に堪能したい!" 誰でも参加できる動画クリエイター作品上映会です。